ニホンゴの変

「いいえ、私はただのカバン持ちですからぁ」と、昨日ウチの会社のタイ人スタッフが言っていた。しかもオレハ・コンナ・ムズカシイ・ニホンゴ・シッテンダカンナッ!というやや得意げで満足げな雰囲気を漂わせつつ。カバン持ちのくせに・・・。いまどき日本人でそういう表現をする人っていないよと思いつつ、言葉づかいでどんな人(年齢層とか性別とか)から外国語を習ったかバレるなあと自らを反省した次第。

僕の場合、スタッフが面白がって下ネタを教えるもんだからその辺の言葉は結構覚えた。「金玉」「気持ちいい」「勃つ」「濡れる」「イクー!」などなど・・・。まっしかし、下ネタは万国共通全人類共通の興味なので、その辺の言葉を覚えておくとコミュニケーションおよび仕事がスムーズに進みます。先日は無線機で確認しながらの作業がありましたが、「エノキドサン!ウォーンソーン!(応答願います!)」との問いに、「チャオークレーオ(イク!イク!)」と答えたら作業に関係ない人たちも偶然同じ無線チャンネルだったようで、それ以来「イク!イク!の日本人」として顔を覚えられてしまいました。そのおかげか変更や追加のお願いに行く時も、笑って迎えてくれるのでラクなのよね。「おっ!バカが来たね」みたいな感じで。まあそこに甘えるつもりもないんだけど、自分がバカやって他のスタッフが気分よく仕事をしてくれたらなあという僕なりの工夫でもあるつもり。
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そんなふうに日々おバカなコミュニケーションをとっているけれど、こちらに来てから8ヶ月半が経ち、タイ語に関してゼロからのスタートだったことを考えるとずいぶんと話せるようになった気もするし、タイ人同士が話しているのを横で聞いていると何を話しているのかさっぱりわからず不勉強を反省したりと気分的にあがったりさがったりです。ところで最近ひとつ気がついたんだけど、日系の下請会社のタイ人は結構僕のタイ語を理解してくれる。けれども純ローカル資本のスタッフには通じにくい。この差ってなんだろう?って少し考えてみたんだけど、要するに日本人の下手なタイ語を聞きなれているか否かだと思う。そう言えば今日も、入社10年目のJATUPORNには通じていたけど、横に座って一緒にそれを聞いてた新入社員のPRAKAIPETは説明中不思議そうな顔していたもんなあ。JATUPORNが「分かりました」って言った時の、「えっ?何で?今の説明で分かったの?」という表情が笑えました。

さて、タイ語という言語について少し書くと、まず母音は日本語の5音に対して41音。子音は14(15)音に対して21音あります。ただ助詞や活用変化がないのがありがたい。その分、文法や文脈が重要になってくるということではあるけれど、日本語の活用変化なんて日本人でも間違えるくらい複雑だものなあ。
次に日本人にとってのタイ語の難しさについて書くと、
①有気音と無気音で発音が違うこと、それから
②声調があることが挙げられると思います。
①については、例えば、phet=辛い、pet=アヒルとなるけど、カタカナで表現すると両方ともペッ(ト)なんだよね。トを括弧書きにしているのは母音を伴わないのでほとんど発音しないため。難しいのはそこじゃなくて、hのところ。ちゃんと息を吐きながらペ(ヘェ)ッ(ト)と言わないと全く通じない。日本語的感覚から言うと何で何だ!と思うけれど、そういうものなのだから仕方がない。こういうのがたくさんあって本当に困る。
②については、これは声の調子というか音程の違いで意味が変わってくるという意味で、例えば、numという単語。語尾下がりで発音すれば若いという意味になり、山型に上がって下がる発音をすると柔らかいという意味になります。あえて表現すれば、num(↓)=若い、(↑)num(↓)=柔らかいとなるかな。日本語フォントだとこれが表現の限界なんだけど、まあわかる人にはわかってもらえると思います。ちなみにこの声調のパターンは5種類あります。これは発音が、日本語を2次元とすればそれが一気に3次元に広がったような感覚で、これを知った時はこの言葉は絶対に覚えられないなと愕然とし目の前が真っ暗になりました。それにしても、若いと柔らかいくらいの違いなら何とか文脈から判断できるけど、距離に関して正反対の意味である「近い」と「遠い」はそれぞれ(↑)klai(↓)、(→)klaiとなり、こんなのはいまだに判別がつかない。まあそれを違う音として認識できる脳がないのだから仕方がないし、鍛えるしかないのだけれど・・・。

そう考えると、人間の脳は置かれた環境によって随分と変化するものなのだということが理解できる。例えば草食動物などは生まれて1、2年もすれば親とほぼ同じ生活が可能なまでに成長するのに対して、人間の赤ちゃんは大人になるまでの時間が長い。この意味は脳が先天的な要素よりもむしろその後の環境によって後天的に出来上がっていくことを意味している、と何かの本で読んだ。つまりは赤ちゃんの時に接する時間の長い親の影響は計り知れないということで、親になるのが怖くなる気さえする。まあその前段階でずいぶんと足踏みしておりますが・・・。

話が逸れましたた。
さて日本人にとってのタイ語の難しさを総合して例文を挙げてみると、
「ペットさんが辛い味の若くて柔らかいアヒルを8匹食べる」は
「ペット ギン ペット ペット ノム ノム ペット トゥア」となります。

ほら、ね?ね?僕の苦悩が少しはわかってもらえますか?
ということで、僕もあいつ変なタイ語使ってるよ、ってタイ人に言われないように気をつけながら言葉を覚えていきます。
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by beerman7 | 2006-07-14 21:14 | タイログ