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テレビ製作入門/山登義明(著)

テレビ製作入門/山登義明(著)_b0027109_17502839.jpgテレビ製作入門








いまさらマスコミ業界を志したわけじゃないですけど、友達の「結婚ビデオ」(二人が結婚するまでの過程や今後について語ってもらうことが主な内容。結婚式の披露宴や二次会の余興として流す)を作る機会を与えてもらううちに、「結婚ビデオ」の表現のあり方はたぶん、テレビのドキュメンタリーとバラエティの中間かバラエティ寄りにあると、見ている人に一番伝わるような気がしてきて、じゃあどうすればそういう表現に近づくことができるのかと思い、技法的なことに興味が行くようになった。

この本は、「ドキュメンタリー」って何?ってところから、(ドキュメンタリー映画とは区別する意味で)テレビにおけるドキュメンタリー制作の実際の順序(企画~取材~編集)を追いながら、そのノウハウや心構えなどを、業界のことがまったくわからない人向けに書かれた本です。

著者の山登さんは、NHKのディレクターとして「黒い雨-広島長崎原爆の謎」、「シリーズ・授業」、プロデューサーとして「もう一度投げたかった-炎のストッパー津田恒美の直球人生」、「響きあう父と子-大江健三郎と息子光の30年」、「世界わが心の旅」、などを制作した方でもあり、その時その時に番組を作りながら悩んだり行き詰ったりしたことがあわせて書かれているので、全体がリアルに伝わってきます。

僕が一番面白かったところは、企画というのは“仮定または仮説”を立てて、それを検証するために取材があり、そしてその取材していく中で、話の根幹や重心が変化していくこともしばしばで、それにより企画書(つまり当初仮定していたこと)がどんどん書き換えられていくのだ、ということが書かれていたこと。
結婚ビデオ作りがまさにそうで、結婚する二人に質問を重ねていくうち、彼らを取り巻くいろんなことや彼ら自身がココロの内側で考えていることがどんどんあらわになってきて、その二人を友達として外側から見ていたとき(仮定)とは違ったものが見えてくるときの面白さと、それをどう取り込んで一本のビデオに仕上げていこうか悩んだという自分の経験が、この本の内容とすごくリンクして、プロも一緒なんだなぁと思って面白く読ませてもらいました。


酒マン商事㈱の社長は、読んでおいたほうがいいんじゃないのー?(笑)
次はあなたの番ですよ。
by beerman7 | 2005-07-09 17:51 | 本の紹介